入居するなら「介護施設か?」それとも「高齢者住宅か?」

わたしが、老人ホーム探しをお手伝いするときや、セミナーの講師としてお話しするときには、まず「介護施設と高齢者住宅」の違いについて、お話しすることにしています。
入居される本人やその家族が、この違いを知らないと、最後まで迷ってしまい、もしかすると後悔することになりかねないからです。

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早速ですが・・・
「介護施設」と「高齢者住宅」の違いは、
何だと思いますか?
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●名前が違う●管理している省庁(厚生労働省と国土交通省)が違う●許認可制と届け出制で違う●費用が違う●スタッフが違うなどなど、細かな部分に違いがあります。

でも、入居される方とそのご家族が知っておきたい「違い」は、そんなことではありません。
大事なポイントは
「安全を優先する」か「自由を優先する」かの大きな「違い」です。

一般的に「介護施設」は自由より「安全」を重視します。
介護施設と呼ばれる代表的な施設は、特別養護老人ホーム(特養)です。ほかにも、介護老人保健施設(老健)や介護付き有料老人ホームなどがあります。
※特養に入居するには、一定の条件(要介護3以上)を満たす必要があります。

具体的な例を挙げると、介護施設に入居される方は日常的に介護を必要としている方が多いため、外出や食事に制限を設けられることがあります。他の入居者と同じ時間帯に食事をしたり、入浴の時間や回数が決まっていることもあります。基本的に、他の入居者と共同生活を送ることとなり、施設は毎日規則正しい生活のリズムを送っていただくようにしています。

規則正しい生活リズムは、体内時計を整え、脳内ホルモンの正常な分泌を促し、精神的な不調や不眠、うつ症状などの改善が期待されるなど、大きなメリットがあります。ところが、これまで自由奔放に生活してこられた方にとっては、とても窮屈に感じることでしょう。

これに対して、高齢者住宅はどちらかといえば、安全より「自由な生活」を大切にしています。高齢者専用賃貸アパートだと思ってもらうとよいでしょう。

外出や食事に制限はあまりありません。ホームによっては食事を自分で作っても良いし、食べたくなければ食べなくても良い。外食も入浴も、基本的には費用さえ支払えば自由です。高齢者住宅から通勤している人もいらっしゃいます。

介護サービスは、オプションサービスとなっているため、必要な介護サービスを受けるには、ケアマネと打ち合わせをしながら、介護業者と契約する必要があります。
自由な生活と、最低限の見守りだけあれば良いという方には、とても住みやすいと思います。反面、身体に不安を抱えている高齢者にとっては、不安な部分があるといえるでしょう。

大きく分けると、介護施設と高齢者住宅の違いは、以上の通りとなります。

ただし・・・
最近は、介護施設も高齢者住宅も、他社とのサービス競争の中で生き残るために、介護施設と高齢者住宅の、ちょうど真ん中にあるような新しいタイプも生まれてきています。

あなたは、またはあなたのお父様やお母様は、どちらがよろしいでしょうか?
私は、お父様やお母様とお会いしたことがないので、介護施設か?高齢者住宅か?今の段階ではアドバイスできません。

ただ、最終的には、介護施設か?高齢者住宅か?の判断は、入居される本人とそのご家族が決定する部分ですので、まずは、その違いを知っておいていただき、どちらがよいのかイメージしておいてください。

それでは、今回はここまでとします。

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